子どもたちがドングリから育てた苗木を山に植える「ふたばの森づくり」植樹イベントが11月9日、秩父市有林(旧野外活動センター跡地)で行われた。主催はNPO法人「秩父百年の森」(上町)と「秩父ふたばこども園」(秩父市中宮地町)。
秩父地域の森林保全と再生を目的に活動する同NPO。秩父地域は87%が森林に覆われ、広大な山林を有する地域だが、かつての多様な生態系が失われつつある。同団体は、地域特有の樹種であるカエデやナラを用いて多様性のある森を再生し、未来に残す活動を続けている。
「ふたばの森づくり」は18年前に始まった取り組みで、植樹は15回目。童謡「どんぐりころころ」の最後に「しばらく一緒に遊んだが、やっぱりお山が恋しいと、泣いてはどじょうを困らせた」との歌詞にヒントを得た。園児が拾ったドングリを、牛乳パックを使って3年間育て、育てた苗木を卒園前に園児たちが山に植える。
イベント当日は約60人の園児が参加し、埼玉県職員、秩父市職員、同NPOスタッフ、「協同乳業」社員ら合わせて約100人が約300本の苗を植樹した。協同乳業(メイトーは秩父のカエデから作る「和メープルシロップ」を使ったプリンを毎年春に発売しており、その売り上げの一部を森づくりに還元している縁でイベントに協力している。
この活動では、ただ植えるだけでなく、植えた木の成長を見守ることで、子どもたちが森をより身近に感じられるようになる。同NPO副理事長の島崎さんは「ドングリを森に帰す活動を子どもたちと行うことで、大人になれば自分たちが苗を植えた森はどうなっているか、自然への関心や愛着が育まれるのでは。園児にはこういった方法だが、小中高生とそれぞれの年齢に分かりやすい内容で講演などを行い、伝えている」と話す。
「私たちが今使っている木は、自然に生えたものだけではなく先祖が植えたものもある。材木や樹液といった森林資源を持続可能な形で活用するためにも、今回の植樹を通じて、子どもたちが自然への関心を深め、未来の森づくりへの意識が育まれれば」と島崎さんは期待を込める。