秩父のコーヒースタンド「ちちぶコーヒー Roast & Research(ロースト・アンド・リサーチ)」(秩父市熊木町)が11月11日、「秩父夜祭」に合わせた限定ラベルのコーヒー2品の販売を始めた。
同店は福田健吾さんと妻の歩惟さんが8月8日にオープンし、テイクアウトコーヒーや自家焙煎(ばいせん)の豆を販売している。歩惟さんは秩父市荒川出身。夜祭のある12月2日・3日は秩父地域の人にとって特別な日であることを幼少期から感じてきたという。「ちちぶコーヒー」を構想し始めた3年ほど前から「いつか夜祭にちなんだ商品を作りたい」との思いを温めていた。
熊木町で店の開業準備をし始めた頃から、街なかで過ごすことで秩父の祭り文化にさらに親しむようになったという。「7月に行われた 『秩父川瀬祭』では店の前を熊木町の笠鉾が通る姿を見守りながら、地元の祭りに参加する喜びを実感した」と歩惟さんは話す。
今回の限定ラベルを書いたのは、秩父神社の御朱印なども書いている書道家の浅見黎翠(れいすい)さん。歩惟さんは「夜祭は夜が深まるにつれて花火やちょうちんがともった山車が華やかになり、花火が終わって各町会に山車が帰っていくにつれて、しっとりと変化していく。祭り特有の空気感を表現したかった。浅見さんは丁寧にヒアリングしたうえで、要望に応えるためにとてもたくさんの『祭』を書いてくれた。最終的には浅見さんが思う夜祭をイメージする一文字をお任せした」と話す。
限定商品にはニカラグア・ラスデリシアス農園のシングルオリジン「アナエロビックナチュラル」の豆を採用し、金箔(きんぱく)をあしらった特別ラベルを用意した。「色とりどりの花火とともに山車が引き回され、やがて暗闇に消えていくような変化を表現するような豆を探していた。この豆の味わいは最初はブドウやベリーを思わせる華やかな酸味を感じ、温度が下がるごとにダークチョコレートのような甘みへと変化する。私のイメージする夜祭を表現するならこの豆だと思った」と力を込める。「世界的な品評会『COE(カップオブエクセレンス)』で4位に入賞した経験もある農園のもので、癖があるものが多いアナエロビックの中でも、この豆は特にクリアな味わい」とも。
祭り限定のシングルオリジンの価格は、豆100グラム=3,300円。ホット(700円)、アイス(750円)で飲むこともできる。通常の「CHICHIBUブレンド」ドリップバッグに限定ラベルを付けた夜祭限定ラベルも用意。価格は250円。ドリップバッグは同店で販売するほか「祭の湯」(野坂町)「じばさん商店」(宮側町)でも取り扱う予定。
歩惟さんは「地元の人が祭ラベルのコーヒーを手に取り、うれしそうにホクホクした笑顔で買ってくれている。祭ラベルを用意して良かった。今後も、秩父の1市4町それぞれ独自の文化や祭などをコーヒーで表現していきたい。ぴったりの表現を思いついたり、良い豆と巡り合えたりした時に特別な商品を出していけたら」と話す。
営業時間は10時~18時、火曜・水曜定休。