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横瀬町「たてラボ」とよこらぼのプロジェクトが「ウッドデザイン賞」受賞

(右から)富田町長、伊藤さん、橋本さん

(右から)富田町長、伊藤さん、橋本さん

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 横瀬町在住の会社員・伊藤淳さんと同町にあるクリエーティブ制作室「たてラボ」(横瀬町横瀬)の取り組みが10月9日、「ウッドデザイン賞2024」のソーシャルデザイン部門に入賞した。

「秩父川瀬祭」で中町笠鉾と一緒に使用される給水用の引き車

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 ウッドデザイン賞は2015(平成27)年に創設。建築家・隈研吾さんが会長を務める一般社団法人日本ウッドデザイン協会が主導する。木を使って社会課題の解決を目指す活動を「ウッドデザイン」と定義している。木の良さや価値をデザインの力で再構築することを目的として優れた建築・空間や製品、活動や仕組み、研究などを対象としており、今年は応募総数366点の中から226点が選ばれた。

 伊藤さんは、勤務する「TIS」(東京都新宿区)が取り組む「地域の『したいこと』」を地域の木を使ってかなえるプロジェクト「WOOD DREAM DECK(ウッド・ドリーム・デッキ)」を昨年3月、横瀬町で始めた。同プロジェクトは横瀬町の官民連携プラットフォーム「よこらぼ」に採択されており、昨年3月にオープンした同町のクリエーティブ制作室「たてラボ」とも連携し、秩父産材の合板をデジタル化された図面のインプットで自動工作が可能なCNCルーターで加工し、ものづくりを進めてきた。昨年は地域の合板を活用してサウナ小屋などを組み立てるログ構法で「ウッドデザイン賞2023」のライフスタイルデザイン部門を受賞し、今年で2年連続受賞となる。

  今回の入賞は、伝統工法をデジタル図面化し、CNCルーターで「匠の技法」を誰でも扱えるようにしたことが評価された。これまでに、同町のコミュニティースペース「AREA898」のミーティングブース、チャレンジキッチン「ENgaWA(エンガワ)」のテーブル、「秩父川瀬祭」で中町笠鉾と一緒に使用される給水用の引き車などを制作。それぞれ、金輪継ぎ、ほぞはぎ、輪薙込(わなぎこみ)、相欠き、三枚組はぎの応用などの伝統工法を取り入れてきた。

 伊藤さんは「伝統工法を取り入れることで、合板材から柱材を作ることや、容易に組み立てができ、非破壊で分解できることなどメリットが多くあり、利用目的が変わる公共物などの創作に適している。昨年受賞したログ構法のサウナは200万円以上で販売することが決まり、今回の取り組みも地域経済への貢献につなげていきたい」と話す。

 秩父市在住で「たてラボ」を運営する制作会社「スキーマ」(東京都渋谷区)の橋本健太郎さんは「たてラボはデジタルとアナログの接点を作るために始めた事業で、伝統工芸のデジタル化はやりたかったことの一つ。職人たちの頭の中や書面になっている技術をデータ化して保存することで、多くの人が技術を活用できる。データを共有すれば、海外で日本の宮大工の技を取り入れたみこしを担ぐこともできるかもしれない。デジタルとアナログを歩み寄らせて活用し、世界を広げるためのきっかけになれば」と意気込む。

 伊藤さんと橋本さんは10月15日、富田能成横瀬町長を訪問し、入賞報告を行った。富田町長は「伊藤さんが提案したよこらぼのプロジェクトの成果が目に見える形で評価されている。町の課題である森林資源の利活用の点でも、小さいけど意義ある一歩。伝統工芸に再びスポットが当たる形でデジタル技術を組み合わせ、新しい価値が生まれていきそう」と期待を込める。

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