横瀬町にある武甲山御嶽神社(横瀬町横瀬)の秋季例大祭が10月1日に行われ、「武甲山御嶽神社里宮太々(だいだい)神楽」の演舞が里宮神楽殿で行われた。同神楽保存会の神楽師が入れ替わりながら、大太鼓、小太鼓、笛の演奏と舞を奉納した。
当日は10時から神事を行い、例大祭のつけ祭りとして11時ごろから17時ごろまで演舞を奉納。第11座の「大黒舞」では大黒様が参拝客に飴(あめ)まきを行った。同神楽は約430年の歴史を持つと伝えられる。楽器は舞台上ではなく舞台後方にある楽屋内で奏でられる。奏者は格子の隙間から舞を見て演奏するため、観客からは奏者の姿が見えず「隠ればやし」と呼ばれるのが特徴。
曲目は「座」と呼ばれ、1座は20分~1時間ほど。翁渡し・御姫舞・剣鍛え・天狗舞・神招き・大多福・御鏡造り・御玉造り・岩戸開き・稲作り・大黒舞・魚漁り・隠箕隠笠・鉾舞・変面想・大蛇退治・終修祓の17座あるが、1930(昭和5)年以降伝承されていない御鏡造り・御玉造り・鉾舞は現在、行われていない。
同保存会会長の小泉昇一さんは「資料を参照したり、近隣の人から話を聞いたりするなどして、継承が途絶えた3座を復活させたい。今年から入会した奥村仁美さんは当神楽では初の女性神楽師。奥村さんが入ったことで会員にも活気が出て、新しい風となっている」と話す。
奥村さんは「50年以上続けてきた先輩方の背中を見て、とてもかっこいいと感じる。伝統の重みを感じながら、次の世代につないでいける立場にあることがありがたい」と話す。
今回で退任を決めた神楽師の守屋賢三さんは「神楽の笛を52年やってきた。親に連れられて幼い頃から見ていたので、神楽は身に染みていて聞くととても落ち着く。今の人は一生懸命練習するし、覚えが早い。ベテランから習って、できるだけ型を崩さないようにつないでいってほしい」と期待を込める。
小泉さんは「昔は地域の男性たちがやる慣習があったが、女人禁制というわけではない。神楽を継承していくためにも、興味のある人はまず見学から来てもらえたら」と呼びかける。
次回の演舞は10月19日の「ちちぶ夢あかり」で、会場は秩父神社神楽殿(15時~17時)。10月27日の「よこぜまつり」会場は横瀬町民会館ホールで10時30分~15時に開く予定。