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大滝の「ゲストハウス錦」、地域に根付いた宿を目指して10周年

客室からの眺望は評判も良いとのこと

客室からの眺望は評判も良いとのこと

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 秩父鉄道「三峰口駅」から車で5分ほどの大滝地域の玄関口にある「ゲストハウス錦」(秩父市大滝)が8月21日で10周年を迎えた。

客室から霧の風景を拝める日もある

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 店主の立川肇さんは埼玉県伊奈町出身。ゲストハウスの開業を目指し、2013(平成25)年に秩父市に移住した。地域の人たちとの縁から、過去に旅館として使われていた建物を紹介してもらい、自ら補修・改装を行い、2014(平成26)年に開業した。改装作業の合間に手伝ってくれた人たちと秩父の地酒「秩父錦」を酌み交わしたことから今の宿名にしたという。

 立川さんは「建物を紹介してもらった時、建物の雰囲気は良かったが大滝の山の中という立地に不安があった。初めは『この場所で大丈夫だろうか』と不安の中で開業準備をしていた」と振り返る。開業当時の宿泊スタイルは相部屋のみだったが、現在は個室のみの対応。「当時は相部屋にしていた関係で、宿泊人数も多かった。よく管理できていたなと、われながら思う」とも。

 立川さんは2017(平成29)年に旅行業務取扱管理者の国家資格を取り、コロナ禍を機に宿の営業以外にも、大滝地域の観光資源のPRに力を入れ、道などの環境整備や歴史資料の整理などを行った。「コロナ禍で人を呼びづらくなってしまい、当時は何をしていいか分からなかった。その時に『できる事をやろう』と大滝の観光を楽しんでもらうために尽力した。当宿から三峯神社まで、三峰街道を経由して歩いて3時間半くらいかけて歩くお客さまもいる」と話す。現在はE-bike(Eバイク)で神庭洞窟や手掘トンネル(以上、大滝)を案内するツアーも行う。

 立川さんは「ゲストハウスをやりたいという思いと、秩父を盛り上げたいという思いだけで1人で働いてきたが、気が付けば10年がたち、その間に結婚もして子どもも生まれた。ゲストハウスなので観光に力を入れるのは当たり前だが、今では観光だけではなく、地域の福祉や近所に住んでいる人たちのことも考えて活動している」と話す。

 立川さんは地域の民生委員も務めており、「秩父市の中でも人口の少ない大滝地域が、どうすれば、より活性化できるかを考えている。観光に関心があるが、その一歩を踏み出せない地元の人たちと、どういう形で観光に関わっていくのかを課題として考えていく必要がある」とも。

 「築120年以上の古民家での経営になるので、宿としては現状を維持しながらも、地域の人たちが観光に対して何を望んでいるか、どう関わってもらえるか。どうやって秩父の中でも大滝地域のファン増やしていくかを考えながら、これからも地元の人や観光に来た人たちの関係をつなぐ宿を続けていきたい」と先を見据える。

 客室は8部屋。宿泊料金は素泊まり1人1泊3,300円~(2食付きは1,700円追加)。希望者には三峰口駅からの送迎も行う。ツアー料金は、1人3,500円~(宿泊客以外は1人6,000円~)。

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