横瀬町役場庁舎が、同町や秩父地域の木を含む県産材の合板を使ったサインボードやキッズスペースなどを設け、3月25日にリニューアルした。
新たに設けたのは椅子などの家具、家のリビングのような会議室、子育て支援のシンボルに「こどものひろば」(キッズスペース)をフロア中央に配置した。その他にも、役場玄関やエレベーター脇に案内用サインボード、キッズスペースの近くに絵本の本棚、立ったまま書類へ記入するための記載台、待合の椅子、荷物置き、大型テレビ、デジタルサイネージを新たに設けた。振興課の前には町の「ゆるキャラ」がいる「ブコーさんのお家(うち)」も。
リニューアルに向けてプロジェクトの中心となったのは、町民課長となんでも相談室長を兼務する平沼宏一さん。2022年6月から富田能成町長や井上雅国副町長、各課から担当者が集まり、「オープン&フレンドリー」「開かれていて誰に対しても優しい」「明るく親しみやすい」などをコンセプトにして打ち合わせを重ねた。機能面などから話を始め、プロジェクト担当者だけではなく全職員からもアイデアを募ったという。
工事は、サクラ住研(横瀬町横瀬)が請け負い、家具のデザインや製作は、昨年3月にオープンした「TATE Lab.(たてラボ.)」(横瀬)の家具職人・加藤健太(愛称=カトケン)さんが担当。同所にある「ShopBot(ショップボット)」で合板を加工し、設計から加工・組み立てまで行った。
サクラ住研の木土昭夫社長は「今回のプロジェクトには私もワクワクした。この仕事に関われて光栄」と話す。加藤さんは「ショップボットはデータを入力すれば、同じものが簡単に複数枚切り出せる。手仕事では難しい曲線を生かしたり、合板の木の断面を生かしたりとデザインを工夫した。木の温かみを感じる、来庁者の憩いの場になれば」と話す。
平沼さんは今回のリニューアルを「利用者や保健師の意見から、職員や来庁者みんなの目が子どもに届くよう、思い切ってフロアの中心に配置し、児童書専用の本棚も設けた。児童書は、町の広報誌で寄贈を呼びかけたところ、町民から絵本など185冊が集まった。居心地のよい役場を目指し、アイデアから完成までオール横瀬で実現できた」と話す。
平沼さんは個人的に絵本の魅力や本の素晴らしさを伝える活動にも取り組んでおり、図書館司書の資格を先日取得したばかりだという。「子どもだけでなく、大人にも改めて絵本を読んでほしい。興味がある人には、お薦めの絵本も案内したい」と力を込める。「リニューアルを機に、届出などの用事だけでなく、気軽に来庁していただければ」とも。