「第2回ちちぶ地域デザインセミナー 交流なくして活力なし~インドネシアとのグローバル交流と『ちちぶ伝習館』構想~」が3月11日、秩父地方庁舎で開催された。西武文理大学(狭山市)と秩父地域振興センター(秩父市東町)との共催。両者は昨年11月、秩父地域の活性化に向けての連携協定を締結している。
協定に基づく取り組みを両者でさまざまな角度から模索。同大がインドネシアとの関係を深めていることや、秩父地域にインドネシアの大学生をインターンシップとして受け入れている企業があることから、「海外との交流」「秩父で外国の人材が活躍する事例発表」を元に、秩父地域の活性化策を考えることを今回のセミナーの狙いとしたという。
「国際インドネシア語教育協会日本支部」事務局長の宮下・クットリル・イメルダさんは、インドネシアとのグローバル交流について発表。インドネシアでは日本語を学習する71万人に対し、日本への留学者は3616人程度であることや、訪日の目的は観光目的の割合が高いことなどを、データを用いて話した。
宮下さんは「インドネシア人にとって秩父は芝桜とライン下りは有名だが、それ以外はあまり知られていない。今後インスタグラムやユーチューブなどの活用や、一年を通して魅力的なランドマークのPRがあると秩父に来るきっかけになるのでは」と話す。
パネルディスカッションは「グローバル交流を軸とした、秩父地域の『地域デザイン』を産官学で考える」をテーマに行った。二ノ宮製作所(皆野町大字大渕)は社員の4割が外国籍で、堀安吉城専務は「社内が多国語化すると、社員同士も海外から来た人を理解するようになってきた。人によって必要な施設も配置し、社内に礼拝室も用意した」と話す。同社でインターンシップを活用して働いていたインドネシア人のヨビレナルドさんから日本での活動内容の発表もあり、発表後には会場が参加者の拍手で包まれた。
秩父地域雇用対策協議会の強谷隆彦会長は「秩父の高校4校で、2023年度に就職した人は155人。そのうちの4割は地域外に就職してしまうため、海外からの雇用はこれからも積極的に進めていくことになるのでは」と話す。
セミナーの終わりに「ちちぶ伝習館」構想に関しての報告もあった。ちちぶ伝習館とは、同大が秩父地域における学生などの活動拠点として設置を検討しているもの。同大には現在、留学生117人在籍しており、キャンパスのある狭山市から秩父はさほど遠くなく、文化や自然に恵まれた環境において、多様な経験をするための拠点として検討が始まったという。
同大教授の岩瀬忠篤さんは「皆野町にあるMahora稲穂山の取り組んでいる活動が、当大が検討しているアクティブラーニングとの親和性が高いことから、ちちぶ伝習館をMahora稲穂山に設置することも検討している。留学生だけでなく一般の日本人学生にも、ちちぶ伝習館を拠点に、活動しながら学ぶアクティブラーニングをさせることも検討中」と話す。
秩父地域振興センターの池田英樹さんは「人口減少が続く秩父地域で、地域活性化の一つとして、外国人とのつながりが考えられる。今回はインドネシアを例にとり、本人からも体験を話してもらったので、参加者はより具体的なイメージをつかめたのでは。外国人の活躍による地域活性化について、みんなで考えていければ」と期待を込める。
次回以降のちちぶ地域デザインセミナーは、夏にグローバル教育による地域活性化をテーマに開催することを検討している。