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秩父・影森で「十日夜」 五穀豊穣やモグラ避け願う

わら鉄砲で思い切り地面をたたく子どもたち

わら鉄砲で思い切り地面をたたく子どもたち

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 秩父の影森の八幡町地区で11月5日、「十日夜(とおかんや)」が行われた。地域の子ども約20人、大人約20人が参加した。

地域の子ども約20人、大人約20人が参加した

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 十日夜は旧暦の10月10日(新暦では11月10日)ごろ、北関東を中心に甲信越から東北地方南部にかけて行われる行事。稲の収穫に感謝し、翌年の豊穣を祈って行う。

 影森の八幡町地区ではいつから行事が始まったか不明だが、70代の住民は「自分が幼い頃からあった。他の地域に住む知人も昔はやっていたようだが、いつの間にかやらなくなった所も多いと聞く」と話す。

 当日は14時ごろから参加者が集会所に集まり、子どもが大人に教わりながら作業した。稲作をする近隣住民に分けてもらったわらを縄で束ね、行事に使うわら鉄砲を作っていった。

 夕方過ぎから子どもたちは自作のわら鉄砲を抱えて近所の農家など8軒を回った。各農家の地面に、わら鉄砲を思い切りたたきつけながら「とおかん夜 とおかん夜 朝ぼたもちに 昼だんご 夕そば食ったら ひっぱたけ ひっぱたけ」と歌い上げた。わら鉄砲で地面をたたくことで、収穫した芋や米などを狙うモグラ避けをしたり、五穀豊穣を願う目的があるという。

 10年ほど前から行事に参加している黒沢真美さんは「子どもたちが歌いながら、わら鉄砲が壊れるほど地面をたたくのを初めて見た時は驚いた。『地面にいるモグラを追い出す』という目的が分かると『なるほど』と思って腑(ふ)に落ちた。伝統行事を地域で守って引き継いでいく姿を見てきて、これからも続けていってほしい」と話す。

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