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秩父浦山大日堂の獅子舞 縁日大祭で演舞

大日堂での祈願の様子

大日堂での祈願の様子

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 浦山の獅子舞が石雲山昌安寺(秩父市浦山)で、大日如来縁日が行われる10月28日・29日に披露される。浦山の獅子舞は「祈願ざさら」と呼ばれ、埼玉県指定無形民俗文化財に指定されている。山深い地域にもかかわらず、毎年多くの祈願に訪れる人でにぎわう。

花笠は手に簓を持ち、舞の調子をとる

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 秩父市の中でも浦山地域は渓谷沿いに集落を形成しており、太古の習俗を残す信仰の地ともいわれる。この浦山地域の獅子舞は、毛附・川俣・金倉・細久保・冠岩の5集落が伝承していたが、現在は細久保・冠岩には住民はおらず、地元を離れている有志たちも参加している。

 浦山にある石雲山昌安寺は1528~1532年、大宮郷(現・秩父市)の広見寺四世大雲宗守禅師により毛附の地に開かれたと伝えられている。大日堂は、大雲宗守禅師が1533年、川俣の地に建立し、大日如来像を安置したことに始まり、1820年に堂を改築し現在に至っている。大日如来は、未(ひつじ)・申(さる)年生まれの守り本尊であり、秩父十三仏の霊場の一つとなっている

 浦山の獅子舞は、道化(1人)・獅子(6頭)・花笠(4人)・太鼓(負い手・たたき手各1人)・笛(5人)・歌(3~4人)の約20人で構成。この他、悪魔払いでは将鬼大明神(1人)・鬼(4人)が加わる。「浦山の獅子舞は跳ねる動作が多くて勇壮」ともいわれ、獅子は基本3頭1組、祈願獅子では、2組6頭で舞うこともあり、現在では6つの演目が伝承されている。

 大日如来縁日の初日は9時30分から、大日堂で「剣がかり」を、大日堂の納経所である昌安寺では「花がかり」「大狂い」を舞い、午後に昌安寺の獅子が大日堂の獅子と合流して祈願物を行う。翌日も獅子舞を奉納し、15時過ぎから異形の鬼が集落の希望する家を巡行する「悪魔払い」を行う。

 保存会の浅見明会長は「浦山の獅子舞の魅力は、獅子舞が地域をつないでいるところにある。昭和から平成にかけてダムの建設などで人口は減少してしまったが、獅子舞を存続させようと地域内外の人がこの日のために集まり、練習会を開いている。現在では保存会により継承され地域の中学生に伝統芸能としての指導も行っている」と話す。「秩父地域のみならず県外の人からも厚い信仰があり、大日如来縁日は多くの参拝者でにぎわっている」とも。

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