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秩父のカフェが「訳ありトマト」を使ったメニュー提供 ソルベやラタトゥイユに

「むすびの湯Cafe」で提供するトマトソルベとラタトゥイユ

「むすびの湯Cafe」で提供するトマトソルベとラタトゥイユ

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 秩父にある「むすびの湯Cafe」(秩父市上野町)が8月31日、高温障害の影響で廃棄予定だった丸山農園(大野原)の中玉トマトを使ったメニューの提供を始めた。

「秩父地域の新たな発見をするバスツアー」の参加者

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 同園ではキュウリやトマトを中心に栽培・出荷しており、「秩父きゅうりピクルス」などの加工品も生産・販売している。県のGAP認証「S-GAP2020」を取得しており、野菜の安全性や労働環境や地球環境への安全に配慮してSDGsにも力を入れているという。

 夏野菜のイメージが強いトマトだが、実は初夏の野菜で暑さには強くないという。30度前後が栽培に適しているが、連日の猛暑により皮が硬くなったり、実の内部が柔らかくなりすぎたり、日焼けして緑のまま枯死したり、栽培を助ける蜂が死んでしまったりするなど、例年に比べて問題が多発した。

 こうした農業の問題をはじめとして「秩父地域の新たな発見をするバスツアー」を秩父商工会議所青年部(通称=秩父YEG)が8月26日に開催した。当日は、ウッディーコイケ(下影森)が管理する林業現場や貯木場や製材工場、みそぽてと本舗(栃谷)、丸山農園などをバスで回り、夜には懇親会も行った。ツアー参加者は一般19人、YEGメンバー17人などで、飯能や所沢などの県内や都内からの参加者、秩父地域への移住者なども多かった。

 企画を担当したウッディーコイケの小池啓友常務は「秩父地域の青年経済人と、意欲と能力がある秩父地域の関係人口の皆さんに知ってもらい、互いに理解を深めることが目的」と振り返る。「ツアーを企画をする中で、廃棄予定のトマトを何か活用できないかメンバー内で相談したところ『出荷できなくても調理すれば使えるのでは』というアイデアが出た。YEGメンバーに「むすびの湯Cafe」の代表・出浦洋介さんがいたことから、カフェで活用することになった」とも。

 丸山農園の丸山貴吾さんは「農園でも収穫体験などを受け入れているが、今回のツアーは参加者が大人が多かったので体験だけに収まらず、農業が抱える問題なども一緒に考えることができた。農家単体ではなく、カフェや宿泊施設など異業種と協力することで問題解決の兆しが少し見えてきて、とても良い機会だった」と振り返る。

 カフェで提供するメニューはトマトソルベ(300円)とラタトゥイユ(100円)。ラタトゥイユと卵を合わせた「とまたまご」も試作中だという。メニューを開発した「むすびの湯Cafe」の北堀さんと櫻井さんは「今回使ったのが中玉トマトで、口当たりを良くするために湯むきをしたり、種をこしたりと大変だった。もともと味のいいトマトを半分から3分の1ほどに煮詰めているので、うまみや甘みが凝縮されていて、ソルベは加糖をしていないのに自然な甘みが引き出されている。トマトは冷凍保存しているので、寒くなってきたらスープも作りたい」と話す。

 営業時間は、モーニング=7時~10時、ランチ=12時~14時、バータイム=20時~23時。

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