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秩父・四萬部寺で供養祭「大施食会」 一般参列や出店も復活

宗派を問わず15人ほどの僧侶が集まった

宗派を問わず15人ほどの僧侶が集まった

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 秩父札所1番「四萬部寺(しまぶじ)」(秩父市栃谷)で8月24日、「大施食会(だいせじきえ)」と呼ばれる供養祭が行われた。関東の三大施食の一つとしても知られており、今年で492回目を迎えた。

「施食殿」には野菜や全国から送られてくる数多くの供物や線香を飾り付けた

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 大施食会は「先祖や万物の諸精霊が、飢え苦しまないようご供養する」という習わしの行事。寺の近くに住む人や関係者などが前日から準備を行い、中には仕事を休んで手伝いに参加した人もいたという。本堂の右隣にある「施食殿(せじきでん)」にはカボチャやキュウリなどの野菜をはじめとした全国から送られてくる数多くの供物や線香を飾り付け、本堂の前には高さ15メートルほどののぼりも数年ぶりに掲げた。

 2019年からはコロナ禍の影響で一般参列を遠慮してもらっていたが、今年は電話やメール、ファクスで供養を事前に受け付けた。当日も朝8時から受け付けを行い、一般参列も受け入れた。

 当日は10時30分ごろから本堂裏手にある戦没者の慰霊碑「忠霊塔(ちゅうれいとう)」で供養を行い、10時50分ごろから、「施食殿」に宗派を問わず15人ほどの僧侶が集まり、先祖、水子の精霊、動物、草木などのあらゆる御霊を供養した。「先祖だけではなく、犬や猫や鳥や魚などのペットをはじめ、植物などまで供養ができるのは全国でも珍しい」という。法要を終えた後、参列者が焼香を行った。

 副住職の丹羽隆浩さんは「供養というのは供に養なっていくと書き表す。これを私は『共に生きていく』という意味で捉えている。供養するのは人だけではなく、ペットや植物なども含めて、供養する対象への思いや思い出を人それぞれに持っている。大施食会が、その思いと一緒にこれからも生きていける機会になれば」と話す。

 境内では、「まめちゃん家」(道生町)のスルメの煮付けや、「なないろ HARUsweets」(小鹿野町般若)のかき氷などが販売された。

 「ここ数年はコロナ禍などの影響で人があまり来られないような状況になっていたが、今年は用意した椅子が足りないほど多くの人が参列してくれた。今年は飲食店の出店もあり、祭りのような雰囲気も戻して盛り上げていきたい。誰でも日常的に気軽に訪問できる寺にしていけたら」と丹羽さんは話す。

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