障がい者向けの入所施設運営などを手がける清心会(通称=さやかグループ)が6月24日、「共生社会」をテーマに一般も対象にしたイベント「清心会創立40周年記念フォーラム」を秩父宮記念市民会館(秩父市熊木町)大ホールフォレスタで開催する。
清心会は1983(昭和58)年に障がい者向けの入所施設「さやか学園」(山田)を開設。2000(平成12)年からは「法人全体で地域に根ざした取り組みに重点を置いていこう」と地域移行をスタートした。地域の中での取り組みが進み、今ではグループホームの開設や日中活動の場づくりを通してより多くの地域との共生社会実現に向けた運営している。
6月2日に新しく理事長に就任した岡部浩之さんは1997(平成9)年、同法人で働き始めた。岡部さんは「自分は学生時代には福祉とは全く縁のないところで過ごし、ラグビーばかりしていた。初めて福祉の世界に踏み込んだ時には異次元の世界に迷い込んでしまったようなカルチャーショックを受けたことを記憶している。」と振り返る。
当日は式典後、第1部の記念トークセッションでは、「共生社会」をテーマに全国5箇所の法人の理事長が登壇し話を進める。続く第2部では、「障害者長崎打楽団 瑞宝太鼓」が太鼓演奏を披露する。
2階エントランスでは写真家・大西暢夫さんの写真展「穏やかな日常ー秩父に生きるー」も開催。大西さんが撮影した同法人利用者たちの写真を展示する。
「40周年を迎え、ふと利用者たちのしっかりとした肖像写真がないことに気が付いたため、それぞれの人に合わせた写真を大西さんにお願いした。最高齢の方は90歳を超えていて、元気なうちに撮影することができた。多くの利用者さんたちの写真を撮影し、彼らの過ごしてきた思い出や証として展示していくことは私たちの義務」と話す。
共生社会について、岡部さんは「さまざまな側面でのアプローチがあると思うが、当法人では地域とのつながりと関わりを大切に考え、例えば、秩父在来種の『借金なし大豆』の作り手が減っていると聞き、力になれればと大豆を作り始めた。今ではこの大豆をみそにして秩父地域で菓子の材料や豚みそなどに使ってもらっている。その他、空き家問題への地域貢献として横瀬町のスーパーマーケット跡を借り上げ、パンの製造工場と販売店『のぞみ工房ぽっぽ』として活用している。このような活動を通じて、地域との接点を増やし、多くの人々に自分たちの存在を知ってもらいたい」と話す。「秩父地域は祭り文化が根付いており、その文化が人を育てているという側面がある。祭りは多くの人が関わり、それぞれが役割を担って執り行っており、その過程こそが共生社会と言えるのではないか。」とも。
「障害のある人は決して特別な存在ではない。障がいを持つ人々の味方となる人が地域の中に少しでも増えることを願っている。今回のフォーラムがきっかけとなり、より多くの人が障がいを持つ人の魅力を発見し、地域で暮らし続けることができるような環境を創り出すのが目標。笑顔や活気を持ちながら働く人々の魅力を見つけ、彼らを支え続けることで、地域全体が豊かになると信じている。障がいの有無にかかわらず、関心のある方に参加していただければ」と一般の参加も広く呼びかける。
13時からの式典後、第1部の記念セッションは14時10分から、第2部の太鼓公演は15時15分から。入場無料(途中参加も可能)