映画「杜人(もりびと)~環境再生医 矢野智徳の挑戦」にまつわるイベント「秩父 MORIBITO 祭」が4月22日・23日と30日、皆野町の「Mahora稲穂山」(皆野町皆野)で行われた。
同イベントは、造園家で環境再生医の矢野智徳さんに3年間密着取材したドキュメンタリー映画「杜人」の上映を軸に、さまざまな催しを組み合わせたもの。関係者を招いたトークや、「杜人」の音楽担当で、バンド「HEATWAVE」のフロントマンの山口洋さんをゲストに迎えたお話し会やライブ、秩父にまつわる食やグッズを販売するマルシェのほか、映画の主人公である矢野さんを招いたワークショップを行い、多くの参加者でにぎわった。
映画「杜人」は、映画雑誌や書籍編集に携わってきた前田せつ子さんが矢野さんの活動を記録するため、初めて長編映画の撮影に挑み、その製作費を集めるためクラウドファンディングで協力を呼びかけた。クラウドファンディング開始当初から注目度は高く、昨年4月の映画公開後は全国でアンコール上映や190カ所を超える自主上映が続いている。
映画の上映にとどまらず、複数の催しを掛け合わせた大規模な「秩父 MORIBITO 祭」を開いた経緯について、Mahora稲穂山代表の長谷川信枝さんは「秩父とゆかりのある映画を、自然公園であるMahora稲穂山で上映することに大きな意義を感じた。多くの人に映画を届けるとともに、実践ワークショップも気軽に参加してもらい、環境を考えて行動するきっかけを作りたかった」と話す。
秩父地域では2回目となった映画上映は、英語字幕が付けられた「インターナショナル・エディション」の初披露もあり、会場には海外から訪れた観客の姿も見られた。前田監督とゲストを交えたトークイベントでは観客との質疑応答も活発に行われた。
30日の矢野さんを招いたワークショップは定員30人で予定していたが、即完売となったという。増枠して、関係者を交えた最終的な参加者は約60人に上った。
参加者の声も共有するのは矢野さんのワークショップの特徴だという。参加者全員が一言ずつ参加の理由などを述べた後、座学で矢野さんの基本姿勢を学んだ。園内を散策しながら行われた矢野さんの見立てでは参加者は熱心に聞き入った。矢野さんは水と空気の循環を読み取りながら、土の中の通気機能を整える穴開け作業を通して「大地の再生」を伝えた。
Mahora稲穂山の林内整備や自然観察会を行う「秩父山里文化研究会」メンバーの一人は、矢野さんのワークショップを終え、「教わった方法を取り入れてササの除伐や水の道を整備し、より良い里山風景の復活ができるよう今後の活動につなげたい」と話す。