皆野町の日野沢川ふれあい広場(旧日野沢小学校跡=皆野町下日野沢)で5月22日、「皆野サンデーピクニック」が開催された。1960年代前後に世界中で流行した「ドライブを伴うピクニック」を当時の古い車の愛好家が集まり再現。会場には40台以上の旧車(ヒストリックカー)が並んだ。
参加者はそれぞれに趣向を凝らし、自身の愛車に合わせた年代のファッションで参加したり、時代を感じさせるピクニック・キャンプ用品を持ち込んだりした。参加者の中には日野沢小学校出身者や愛媛からの参加者も。ミュージシャンによる演奏も披露され、会場でピクニックを楽しんだ。
実行委員会代表の奥村純一さんによると、皆野町はかつては養蚕業を生業とする者が多かったが、その後ナイロンの出現により生糸産業は廃れ、織物や製糸工場は精密機械加工へ姿を変えたという。1960年代前後にはその多くが自動車部品を製造する工場へと転業した。精度の高い工作技術は日本の自動車製造、高度経済成長を支えてきたが、現在ではそれらの工場は海外需要や後継者不足により少なくなり、次々と閉鎖されているという。
奥村さんは2018(平成30)年、皆野町に自身の愛車をメンテナンスし保管しておく倉庫を借り、不動車を買ってきてはコツコツと直し、再び公道を走れるように修理することを楽しみとしてきた。2021年4月、皆野町の地域おこし協力隊員に就任。同じ趣味を持つ全国の愛好家の縁と、皆野町内に同好の友人ができたことにも後押しされ、同年6月、地域おこし活動として「皆野サンデーミーティング」を開催し、町内のホテル駐車場に82台のヒストリックカーを展示。同年12月には「皆野サンデーラリー2021」、今年3月には「皆野サンデーラリー春」を開催した。
今回のイベントは、2002(平成14)年に廃校となり、2019(平成31)年に解体された日野沢小学校跡に、再び人々が集い歓談を楽しめるようにと企画したという。奥村さんは「かつて人が賑わったこの日野沢小学校の跡に、またこうして今日、いろいろな人が集まって笑顔を見せてくれたことがとてもうれしい」と話す。