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秩父のレトロな喫茶店「パーラーコイズミ」が55周年

パーラーコイズミのショーウィンドウにはオリジナルメニューが多数並ぶ

パーラーコイズミのショーウィンドウにはオリジナルメニューが多数並ぶ

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 秩父の喫茶店「パーラーコイズミ」(秩父市番場町、TEL 0494-22-3995)が4月で55周年を迎えた。秩父神社前の番場通りにある同店は、秩父に生まれ東京・上野の洋食店で修業を積んだ小泉建さんが1967(昭和42)年に創業した。

創業当時を写真と共に振り返る建さん

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 小泉さんは「東京で働いて、そろそろどこかで自分の店を開こうかという時に今の場所が見つかった。当時は当店の向かいに昭和館という映画館があり、今と比べて自動車も少ないので自転車で来る人が多く、ここらへんを秩父銀座と呼ぶ人もいた」と開業当時を振り返る。「秩父だと今ではうちが一番古い店になった。秩父地域でパフェやナポリタンを一番初めに提供したのも当店。開店当初はパフェで使うアイスや生クリームを調達するのが大変だったが、過去に東京で働いていた経験やつながりで入手することができた」とも。

 同店の建物は、100年前に寺尾にあった建物を移築したもの。1980(昭和55)年頃には、東町の八百好の隣にクレープやジュースのテイクアウト店を開店。その翌年には喫茶店「エルパティオ」をキンカ堂の向かいに開店し、3店舗を経営していたこともある。現在は、パーラーコイズミのみを営業。

 「5店舗オープンを目指していたが、体一つではとてもそこまでできず、3店舗が限界だった。それでもこの仕事を長く続けてこられたのは、この仕事以外を知らなかったからこそ。当時は喫茶店ブームでどんどん店が増えて、これからが勝負だなと感じた。インベーダーゲームがはやって、喫茶店に置いてある店も多かったが、当店はそれをあえて置かなかった。あくまで喫茶店としての姿勢を変えずに営業を続けるスタンスが、今のパーラーコイズミになっているのでは」と話す。

 2018(平成30)年、飯能の飲食店で18年間修業した長男の小泉淳さんが戻り、現在は建さんと淳さんの夫婦4人で切り盛りしている。淳さんは調理の専門学校を卒業後、小金井の飲食店に勤務し、2000年頃から「イタリアンの勉強をしたい」と思い、飯能にある店に18年勤務した。「長い間、秩父の外で働いていたが、いつかは秩父に戻ってくるつもりで働いていた。秩父に戻ってきてからは地元で働ける楽しさや、お客さまの優しさに触れながら日々働けている」と淳さんは話す。

 淳さんが働き始めてから、同店では月替わりのお薦めメニューを提供している。「自然が多い秩父だからこそ、季節に沿ったメニューを大切にしたい。パーラーコイズミの魅力は昔から変わらずにあるおいしさだったり雰囲気だったりするので、大切なものは残しつつ、少しずつ形をかえて、これからも家族で進めていければ」と意気込む。55周年のイベントも検討中。

営業時間は10時~19時。木曜定休。

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