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秩父出身在住デザイナーが秩父太織絹を使った製品作り CFで協力呼びかけ

レース付きコート(養蚕農家の繭部屋で撮影)

レース付きコート(養蚕農家の繭部屋で撮影)

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 秩父市出身在住のデザイナー井深麗奈さんが現在、「一度は途絶えた『秩父太織絹』をもう一度。伝統をつなぐ純国産繭のシルクドレス」と題し、クラウドファンディングで協力を呼びかけている。

秩父太織絹を使った製品

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 井深さんは文化服装学院卒業後、ランジェリーブランドの企画を経て1997(平成9)年に渡仏。語学を学ぶうちに縁あってフランスのアンティーク雑貨やビンテージ生地などの買い付けの仕事を始め、2003(平成15)年に自身のブランド「maria-reina paris」を立ち上げた。パリで17年過ごした後、2014(平成26)年に秩父へ帰郷して5年ほどはファッション界から離れていた。

 「秩父で自分がファッションを発信する意味があるのだろうかと疑問に思っていたが、秩父絹に触れ、これならやる意味があると感じ、2019年新たに「REINA IBUKA」を立ち上げた。アンティークやビンテージなど古く良いものを長く使うパリの文化を肌で感じていたので、秩父絹のようなすてきな美しいものを後世に残していきたいと思った」と当時を振り返る。

 国の伝統工芸品でもある秩父銘仙には「秩父太織」と「秩父ほぐし織」がある。江戸時代、養蚕農家が販売できない規格外の繭を使って野良着を作り始めたのが「秩父太織」の起源。秩父太織は一度は途絶えてしまったが、故石塚賢一さんにより復元された。

 井深さんはその弟子の北村久美子さんが作る、繭から糸から紡いで織る生地を使い、このプロジェクトに取り組んでいる。秩父では昔は養蚕が盛んだったが、今では桑畑を持って蚕を育てる農家は数少ない。北村さんが使う繭は秩父で養蚕の存続に努めている久米悠平さんが育てたもの。

 井深さんは「北村さんの生地は、100%秩父産の久米さんが育てた繭から作った無撚糸を織り上げているので、シルク本来の手触りの良さが最大限に生かされている。使うほどに滑らかに艶が増していき、丈夫で軽いのも特徴。秩父太織の糸作り技術に、北欧のエッセンスを取り入れた北村さんのダイアモンド織リは、立体感のある美しい独特な艶を生み出している」と話す。

 リターンとして、コートやワンピースやブラウスなどの洋服の他、スカーフタイやボウタイやベルトなどの小物も用意する。

 「より多くの方に身に着けてほしい。手の込んだ製品はどうしても高価格になってしまうため、今回のプロジェクトでは、男女兼用の小物も用意している。プロジェクトページを見て支援いただけたら」と井深さんは呼びかける。

 支援金額は9,450円からで、支援金は生地や製品の制作に使う。6月14日まで伊勢丹新宿店(東京都新宿区)で展示し、7月上旬に秩父のアトリエでも展示や試着会を予定。応援購入Webサイト「Makuake」でのクラウドファンディングは8月8日までで、9月に小物を順次発送を始め、来年2月末までに完了予定。

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