小鹿野町の原島達明さん宅にある「Hall REISUI(ホール レイスイ)」(三田川地区)で5月8日、コロナ禍で2年ほど延期していた「そよ風コンサート」が開かれた。
二ノ宮千紘さんと小針彩菜さんが、カリブ海の島国トリニダード・トバゴ共和国発祥のドラム缶から作られた音階のある打楽器「スチールパン」と木製の音板を持つ鍵盤打楽器「マリンバ」を使い、クラシック音楽など6曲とアンコールを演奏した。
原島さんは「20代からクラシック音楽が好きで、聴いたりレコードを集めたりして50年近くになる。自分の家で音楽会ができたらいいなと昔から考えていて、8年前の積雪で車庫が潰れた時に車庫をコンサートホール風に改築した。ホールの名前は以前作った茶室の『嶺翠軒(れいすいけん)』から。私の家から嶺々(みねみね)が青々している風景が見え、そこにあるホールという意味から名付けた」と話す。
当日は、併せてお茶やお菓子も提供。妻の良子さんは表千家茶道を41年続けており、お茶と上生菓子は良子さんの師匠や先輩、三男の教道さんが提供した。開演を待つ10代の女子学生は「祖母と参加した。今回は初めての楽器で楽しみ」と話した。
来場した小鹿野町の森真太郎町長は「地元の方々と珍しい楽器演奏が聴けた。自宅を開放してこのような機会を提供されて素晴しい」と話す。同町在住の女性は「生で聴ける音楽会へなかなか行けないが、『癒やされて元気が出そう』と思い夫を誘って来た。知っている曲があり感動したうえ、お茶を頂きホッとした」と振り返った。
演奏を終えた二ノ宮さんは「コロナ禍で何度か延期になったが、やっと開催できた。珍しい楽器のスチールパンを、地元の多くの方々に聴いてもらえたのがとてもうれしく、温かい気持ちになった」と話す。小針さんは「皆さんにとって初めて見て、聴く楽器をにこやかに聞く観客の表情や良いリアクションが分かる生演奏はすごく嬉しく、楽しく過ごせた」と振り返る。
原島さんは「聴く方が音楽の力をもらい、思い出の一ページになればうれしい。今後もクラシック音楽のアーティストを招き、地元の方々へ生の音楽の素晴らしさを伝えていきたい」と話す。
そよ風コンサートは年2回の開催を予定しており、次回は10月8日。チケットは1,000円(お茶付き)、高校生以下無料。