小鹿野町の四阿屋山 法養寺・薬師堂(両神薄)で3月4日、小鹿野町立両神小学校(両神薄)の5年生児童17人が、かつてにぎやかだった縁日や市を再現する「薬師堂マーケット」を総合の学習のまとめとして行った。
四阿屋山 法養寺・薬師堂は平安時代に創建されたと伝わり、「目薬師(めくすし)」として信仰を集め、眼病への御利益で知られる。建造物としても貴重な本堂があり、堂内には県指定有形文化財の彫刻3像(現在は保全修理中)が安置されている。毎年1月8日に開催される縁日は秩父夜祭(秩父市)、飯田八幡様の鉄砲祭り(同町飯田)と並び「秩父三まち(祭り)」として古くから知られており、かつて縁日や市でにぎわった。
5年生担任の根岸巳希矢教諭によると、昨年11月頃に「小鹿野ふるさと学習」で小鹿野の魅力や産業について学習し、かつて薬師堂でにぎやかな縁日や市が立っていたと知り、両小5年生の力で地域を元気にしたいと考え、「薬師堂マーケット」を企画した。校内で協議のうえ、小鹿野町地域おこし協力隊の『大人の学校』で『地域からの立地戦略』の研究を進める明治大学商学部中川ゼミの賛同で実現に向けて準備が進められた。檀家、同町地域おこし協力隊、企業・農家、町役場の各課も全面協力した。
同マーケットでは、オリジナルのキーホルダーとおみくじを販売。キーホルダーは木製で地元木材加工の会社から材料提供され、児童が木を切り「薬師堂のマスコットキャラクター」を地域おこし協力隊員の協力でレーザープリントした。花卉(かき)農家から会場を彩る桃の花を提供されプランターも児童が手作りして飾った。他の学年の児童も見学に訪れ、会場はにぎわいを見せた。
参加した児童らは「キーホルダー作りなどで木を切ることが難しかったが、教わりながらようやく切れた。こんなに多くの人が来てくれて、うれしいし楽しかった。またやってみたい」などと話していた。
檀家で薬師堂奉賛会会長の出浦保美(やすよし)さんは「今から60年くらい前まで、縁日や市が行われていた。前日から家の雨戸が外され、リンゴ箱の上に置いて売り場となり、店は200メートルくらい出店していた。真冬なので家が寒かった記憶があるが、当日は始業式で半日なので、とても楽しみだった。この話しを聞いたときはどうなるかと心配したが、これだけ人が集まりにぎやかにできて『薬師様』も喜んでいると思う」と話す。