西武秩父線「芦ヶ久保駅」から徒歩7分ほどの場所に2月1日、半露天風呂付きの「一棟貸切宿 teihaku秩父」(横瀬町芦ヶ久保)がグランドオープンした。
寝室2部屋とキッチン付きのリビングや有料のランドリーが備え付けられており、1グループ最大9人まで泊まることができる。半露天風呂があり、庭でバーベキューができる。
宿の主人、杉本諒介さんは「昨年11月1日にプレオープンし、はじめは知り合いに利用してもらっていたが、最近は秩父の宿の中から選んだのではなく、この宿を目的に秩父に来る人が増えてきた。もっと魅力を発信し、秩父に泊まりに来る人の母数を増やしていきたい」と話す。
杉本さんは神奈川県出身の東京育ち。大学卒業後に大手配送会社に入社し、産直通販支援サービスの業務に携わった。通販会社のサポートだけではなく、作り手により近くで関われる仕事に興味が湧き、長野にある地域産品をギフトとして扱う会社に転職して、農家にも1000人以上会ったという。
結婚を機に独立を考え、元々杉本さんの祖母が高知県四万十市で一軒家の民宿を営んでおり、自分も宿泊事業をやってみたいと思ったのが一棟貸切宿を始めるきっかけとなった。
「一棟貸切宿なら、ファミリーや友人グループ、カップルと様々な属性の方が来てくれる。一度来てくれた人のライフステージが変わっても、再来訪しやすい宿を作りたいと考えた。カップルが『次は友人グループと来ます』と言ってくれることもある」と杉本さんは話す。「コンパクトな宿なので、アップデートや改修等もスピーディに出来るので、持続可能な宿泊産業がつくれるのでは」とも。
さまざまな場所を調べて検討した結果、都心へのアクセスや妻の実家に近いこと、川がきれいな環境などから2020年4月、横瀬町に移住した。移住後は空き物件の調査から始めて、駅や道の駅からも近く、自然も豊かな物件を見つけ、約半年かけてリノベーションしたという。
「はじめは宿を開業すると近所の人に反対されるのではと心配していたが、宿の近くは住民が少なくなっていることもあり、人が増えることを喜んでくれたり、私の挑戦を面白がってくれたりして嬉しい。やり方を工夫すれば、地元の人も面白がってくれたり、応援してくれたりすることが分かった。応援の声にこたえるために事業を拡大して、もっと地域に貢献していきたい」と杉本さんは話す。
「住宅に近すぎない土地で空き家があったら教えてほしい。目標は横瀬町に5~6棟、秩父地域で10~15棟くらい稼働して、ゆくゆくは雇用を増やして秩父で働きたいと思う人が増えてくれたら」とも。
宿泊料金は1室1泊2万5,000円~。今後は横瀬町の焼肉店と協力してホルモン焼き付きのプランも予定する。