小鹿野町にある「牧場ログハウス ちちぶ路 吉田牧場」(小鹿野町飯田、0494-75-1209)が、コロナ禍の影響で中止していた動物との触れ合い体験教室を1年半ぶりに再開し、11月18日、小鹿野町立両神小学校(両神薄)の1・2年生児童20人が訪れた。
吉田恭寛さんは吉田牧場の3代目で、同牧場は酪農を始めて100年近くたつ。搾乳牛70頭、肉牛50頭のほか、ヤギ、ポニー、ウサギを飼育する。
体験教室を始めたきっかけは、小学校の教諭から学校給食で牛乳を残す子どもが増えていると聞いたこと。「牛が頑張って出してくれた牛乳なので、給食で残されるのは忍びない。牛がどうやって乳を出しているのか、実際に牛と触れ合って子どもたちに知ってもらえれば大事に飲んでもらえるかもしれない」と思い、20年ほど前に体験教室を始めたという。
小学校1・2年生の生活科の授業に「動物と触れ合う」の項目がある。同小1年生担任教諭の黒田伊知郎さんが20数年前、自身が小学生の時に吉田牧場でアイスクリーム作りの体験教室に参加したことがあったこともあり、児童たちと触れ合い体験教室を訪れた。
牛と子どもたちが触れ合う際、親牛は大きいため怖く感じやすいので、まず子牛へ哺乳体験を行う。その後、母牛への餌やり、搾乳を体験。子牛への哺乳体験は吉田さんの妻の英子さんが担当する。
「お産があって、母牛がいて、子牛のために牛乳を出してくれる。それを頂いて飲んでいることが、最後に分かるような流れを心掛けている。実際に子どもたちの手や足で触れたり牧場の匂いを嗅いだりして、五感を使って体験してもらいたい」と吉田さんは話す。
搾乳を体験した1年生児童は手のひらに乳を受けて「温かかった」と話していた。
吉田さんは「給食で飲む牛乳は冷たいけれど、母乳の搾りたては温かい。母牛は、本当は子牛に母乳をあげたいのかも。でも、みんなも飲みたいよね。だから『ありがとう。いただきます』と言って飲んでね」と、食と命の大切さを児童たちに伝えた。
同牧場は、動物との触れ合い体験、搾乳体験、バター作り、アイスクリーム作りなどを行うが、観光牧場ではなく酪農を営む牧場のため完全予約制となっている。問い合わせはメール(pony1744@gmail.com)まで。