秩父神社(秩父市番場町)から徒歩1分の黒門通りと買継商通りで11月13日、「秩父絹市」が開催された。
新型コロナ感染拡大の影響で昨年中止になった秩父夜祭絹市が、今年は開催日を「秩父夜祭」が行われる12月からずらして11月13日に「秩父絹市」として開催した。2年ぶりの開催となった秩父絹市は、地元の秩父銘仙(めいせん)関係業者や秩父絹市実行委員会が協議した結果、この日の開催になった。
かつて秩父地域では絹産業が盛んで、12月3日に行われる「秩父夜祭」には大きな絹市が立ち、その年最大級の絹の取引が行われ、全国から大勢の人が集まった。現在でも数軒の織元が秩父銘仙の伝統技術を継承し、絹製品の生産を続けている。今でも数軒の養蚕農家が繭を生産しており、12月4日には秩父神社で、この地域で生産された繭を奉納し、その年の収穫に感謝し翌年の増産を願う「蚕糸祭」が行われる。
こうした伝統産業の歴史、文化を後世まで伝えようと2016(平成28)年に復活した秩父夜祭絹市だが、今年は「秩父絹市」として開催。さまざまな露店が出店する中、地元の織物業者が秩父銘仙の着物や和装小物などを販売したほか、パッケージに秩父銘仙柄をあしらった地元ワインや地元で作られる木工製品なども販売した。
絹市の中心となる「ちちぶまちづくり工房」では、数々の秩父銘仙の着物などを展示し、訪れた人は今でも続いている伝統産業に触れ、楽しんでいた。
銘仙の語り部であり、コレクターである木村和恵さんは「秩父の地に生まれ育った秩父銘仙や各地にある銘仙の事を多くの人に知ってもらいたい。日本の伝統産業だった絹織物に触れて楽しんでほしい」と話す。
秩父絹市実行委員会では今回の様子を見て、今後も年に2~3回の絹市を開催したいとしている。