秩父地域の観光振興を担う「秩父地域おもてなし観光公社」(秩父市熊木町)が4月1日、外部専門人材として地域で活動する今山実穂さん、吉田武志さん、浅見裕さんの3人を登用した。秩父市役所で行われた辞令交付式では、同公社会長を務める清野和彦市長が、週1.5日~2日程度業務に携わる3人に辞令を手渡した。
同公社は昨年度、観光庁が定める「先駆的DMO」に選ばれた。DMOは地域の観光戦略を立てる司令塔の役割を担う組織で、その中でも「先駆的DMO」は世界に通用する観光地づくりのモデルとして国から支援を受ける。同公社は、地域外のコンサルタント会社などへの外部委託に頼るのではなく、地域住民や事業者の視点をより直接的に反映させた観光施策の展開を目指す。
チーフマーケティングオフィサー(CMO)に就いた今山さんは、秩父市出身。カフェやキャンプ場を併設する「KEiNA CHICHIBU(ケイナチチブ)」(田村)を経営する。行政やコンサルティングの経験も持ち、一事業者として観光に関わる中で人材不足などの課題を肌で感じてきたという。今山さんは「100年後も秩父があり続けてほしい。観光を通じて秩父の自然や文化、伝統を守り育てながら、地域の誇りと経済につながる形をつくりたい」と話す。
広報・戦略担当の吉田さんは、横瀬町でデザイン事務所「malme.design(マルメデザイン)」の代表として、地域の企業や店舗のロゴ・パッケージデザインなどに携わってきた。兵庫県出身で、10年ほど前に秩父へ移住した。吉田さんは「秩父で暮らし始めてから気づいたのが、この地域には魅力的な店や人が本当に多いということ。移住者としての外からの目線と、10年住んで育んだ内側の視点の両方を生かしたい。デザインと広報の力を惜しみなく注ぎ、秩父の魅力をより広く深く届けていきたい」と意気込む。
DX推進担当の浅見さんは横瀬町出身。ウェブ制作などを行う「浅見制作所」を営む傍ら、サウナ付きの宿泊施設「DANDAN」(横瀬町横瀬)などを運営。浅見さんは「デジタル活用で事業者の負担を減らし、観光客へのおもてなしに使える時間を増やしたい。自分たちが一つのモデルとなり、この立場でしっかり結果を出して若い人材が地域で活躍する流れをつくりたい」と抱負を話す。
同公社事務局長の井上正幸さんは、観光組織が直面する財源と人材の不足を指摘する。これまでは外部への委託や職員の新規雇用に課題を感じていたが、今回は地域で活動する個人事業主の力を借りる「実験的な試み」に踏み切った。井上さんは「秩父は人材が豊富。地域の専門家が公社の一員として動くことで、一人の活動では難しかったことも実現しやすくなるはず。秩父を盛り上げたいという思いを持つ人たちと共に、新しい働き方や地域づくりを形にしていきたい」と期待を寄せる。