長瀞町は3月27日、町公式マスコットキャラクター「とろにゃん」を3Dアバター化し、AIアシスタントとともに行政・観光案内を行う実証実験を町役場1階ロビーで始めた。自治体の公式キャラクターを主体とした3Dアバターに生成AIを組み合わせて庁舎窓口で住民対応を行う取り組みは全国初となる。
設置した筐体(きょうたい)は「3Dショーケース」と呼ばれ、奥行きのある空間に3D化された「とろにゃん」を表示する。とろにゃんが質問に対してうなずいたり、ジャンプしたりと10種類ほどのモーションで感情豊かに動き、案内は女性の声によるAIアシスタントが行う。日本語を含む17言語に対応し、外国人への案内にも活用する。
実証実験の背景には将来的な職員数の減少や、窓口での問い合わせ内容の多様化などの課題がある。役場入り口に近い町民課窓口では「どこに尋ねれば良いか」といった一時的な案内で職員の手が止まる状況があり、AIアバターの導入により業務の効率化と負担軽減を目指す。
当日の実演では、地元の子どもが「長瀞町の人口は何人ですか」「長瀞町の名物は」などの質問を投げかけ、職員が英語で質問する実演も行った。AIアバターは、正確に回答をするケースもあれば、「データがない」と回答を回避したり、内容がズレたりする場面もあった。今後、回答精度の調整は実証実験期間中の課題として改善を進めていく。
システムの構築を担当した「JetB」(東京都新宿区)の杉浦康樹さんは「他自治体では既成のキャラクターを使う例はあった。『とろにゃん』を使って、感情豊かな表現を持たせたのが特徴。親しみやすく活用してもらえるよう、実証実験で得られた知見で応答品質向上や回答内容の調整に役立てていきたい」と話す。
長瀞町企画財政課の橋本明身課長は「単なる話題性にとどまらず、人口減少社会において持続可能な行政サービスを維持し、新たな観光案内手法としての有効性を検証したい」と話す。
町役場での稼働は5月末までを予定。6月上旬からは長瀞駅前の観光案内所へ場所を移し、8月末まで運用を継続する。町は、実際の利用状況や町民の反応を踏まえて、本格導入を検討する。