秩父市は3月23日、森林資源の循環利用と街の木造化を推進する農林水産省の「『森の国・木の街』づくり宣言」に賛同し、同宣言を行った。併せて、同地域の間伐材を原料としたコピー用紙「ちちぶの森の木になる紙」の販売を4月に始める。
同市内の民有林には、1万6000ヘクタールを超えるスギやヒノキの人工林がある。多くが戦後に植えられ、樹齢50年を超えて利用可能な時期を迎えている。一方で、木材価格の低迷や、林業の担い手不足により適切に管理されないまま放置されている森林も少なくない。市はこうした森林資源を整備し、木材を安定的に供給することを重要なミッションに掲げている。
今回の宣言では、建築物への木材利用を推進するとともに、木材利用の効果を温室効果ガスの排出量算定に反映させ、環境への貢献度を「見える化」することを目指す。
具体的な取り組みとして、販売が始まる「ちちぶの森の木になる紙」は、秩父地域森林林業活性化協議会が一般社団法人「木になる紙ネットワーク」(東京都文京区)と連携して開発した。原料の30%に秩父地域産のスギ・ヒノキの間伐材を使い、残りの70%に古紙パルプを用いる。大王製紙(東京都千代田区)が製造と取り扱いを担う。
製品には、森林内に放置され土砂災害の要因にもなり得る「林地残材」や、細すぎて建材に適さない間伐材を有効活用した。これまでは使い道が限られていた未利用材を「紙」として価値化し、その収益の一部を森林所有者へ還元することで、次世代の植林や整備につなげる。製品1箱(A4紙500枚・5冊入り)を使うことで、1025グラムの二酸化炭素(CO2)削減につながる計算。
同市では2026年度から、森林環境譲与税を活用して全庁的に同製品を導入する。行政手続きのデジタル化の推進により全体の紙の使用量を抑制しつつ、どうしても必要な紙については、地元の山を潤す選択肢へと置き換えていく方針。
今後は、秩父から東京湾へと流れる荒川の上下流で手を取り合い、共生共栄を目指す「荒川流域圏構想」の一環としても、流域の自治体や企業など地域外への普及を図る。水源地である秩父の森林を適切に管理することは、下流域の安全や水源確保に直結するため、広域的な連携を呼びかけていく考え。
同市農林部森づくり課主幹の牧野裕介さんは「DXの推進で紙の使用量を減らすことは大前提。その中で、どうしても必要な紙については、地元の木を使った環境に優しいものを選びたい。上流域の木を活用することが、荒川全体の環境を守ることにもつながるというスタンスで広めていければ」と意気込む。