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秩父札所1番・四萬部寺に「お寺カフェ」 精進料理や台湾スイーツ提供

(左から)丹羽副住職、四方田さん

(左から)丹羽副住職、四方田さん

 秩父札所1番「四萬部寺(しまぶじ)」(秩父市栃谷)の境内に3月14日、「お寺カフェ四萬部寺」がオープンした。3月18日に始まる12年に1度の「秩父札所午歳(うまどし)総開帳」に合わせ、巡礼の始まりの地から仏教や地域の魅力を伝え、秩父札所全体の活性化を目指すという。運営は、同寺副住職の丹羽隆浩さんと、お茶マイスターの四方田望さんが共同で行う。

精進料理ランチは季節やその時の食材でメニューが変わる

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 四方田さんは、かつて秩父のホテルに勤務していた際、紅茶の勉強を開始。徐々に興味を広げて「世界のお茶マイスター『茶ムリエ』」などの資格を取得し、昨年7月まで秩父市内で中国茶を中心としたカフェを経営していた。閉店後、今後について考えていた四方田さんと、以前から「寺カフェ」の開設を構想していた丹羽さんとの縁がつながり、今回の開店に至ったという。

 「寺を身近に感じ、静かに心を整えてほしい」との願いから誕生した同店。1月からのプレオープンで店内では当初BGMを流していたが、機械の停止で無音になった際、来訪者から鐘の音や鳥の声、水音などの環境音を望む声があったことから流すのをやめたという。四方田さんは「スマートフォンをバッグにしまって、瞑想(めいそう)する人や『自然音が心地よくてリフレッシュできた』と話す来訪者の姿も見られる」と話す。4卓15席の店内では相席になることもあり、巡礼者同士が「秩父札所巡礼は何周目か」「西国や坂東の札所巡礼は行ったことがあるか」などの会話を交わす交流の場にもなるという。

 食事メニューについても、「心を見つめ直す時間の提供」を重視する。予約制の「精進料理ランチ」(3,300円)は、副住職が永平寺での修行経験を基に内容を監修した。12時に一斉スタートする形式で、提供前に副住職が食事への感謝をささげる「五観の偈(ごかんのげ)」を解説する。食事の前に唱えることで「頂きます」や、食材を走り回って探す苦労への感謝を意味する「ごちそうさま」という言葉の本来の意味を共有し、食材や命、準備に携わった人々へ思いをはせる時間を設けるという。

 提供するメニューは、肉や魚などの動物性タンパク質、ニンニクやタマネギなど、刺激物とされる「五葷(ごくん)」を使わない方針を2人で話し合って決めた。四方田さんが以前経営していた店でも好評だった植物性食材を主体とする精進の考え方に沿いやすい台湾スイーツ「豆花(トウファ)」「仙草ゼリー」(以上680円)などをそろえる。抹茶や甘酒を使ったドリンク、中国茶や台湾茶も用意する。

 同寺は、特定の檀家を持たない寺として歴史積み重ねてきた。3月18日からは、老朽化した観音堂を修繕するための費用の一部をクラウドファンディングで募る挑戦も始める。修繕には多額の費用が見込まれるが、支える檀家がいない背景があることから、カフェの運営を通じて来訪者との新たな縁を育み、未来へ建物をつないでいくための試みとして位置付けているという。

 丹羽さんは「寺を身近に感じてもらい、誰でも仏教に親しめる場所にしたい。カフェの開設やクラウドファンディングは、寺が本来持っている安心感を伝えていくための大切な過程。これらをきっかけに、未来へ向けて多くの皆さまと新たなご縁を結んでいければ」、四方田さんは「以前の店を閉じた後、今回のプレオープン期間中にも無理を重ねて体調を崩した。完璧主義よりも継続性を大切にし、急がずに気持ちを整えられる場所を届けていければ」と思いを語る。
 営業時間は8時~17時。定休日は3月が月曜、4月以降は木曜(変動の可能性あり)。

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