秩父のキャンプ・移住体験施設「吉田元気村」(秩父市上吉田)で2月6日~8日、「ケモノスーツ」愛好家の交流イベント「けものビレッジ」が開かれた。北海道から鹿児島まで全国各地から85人が集まり、交流や撮影を楽しんだ。
同イベントは2017(平成29)年から同施設を貸し切って継続している。今年はスタッフの確保が難しく一度は中止の方向にあったが、施設側に住民から「今年は『けものさん』は来ないのか」と開催を待つ声が届いた。これを知った実行委員が「集まれるメンバーで実施しよう」と声をかけ合い、例年より少ない運営人数で準備を進めた。
会場には、犬やオオカミ、ドラゴン、トラ、猫、鳥などを模した「ケモノスーツ」を着用した愛好家が姿を見せた。スーツは「ファースーツ」「着ぐるみ」とも呼ばれ、全身を覆う「フルスーツ」や頭部のみの「ハーフスーツ」があり、専門の工房によるオーダーメードや自作。内部に綿などを入れて脚の形をふくらませたもの、タイツ状で脚の線がそのまま出るタイプなど、体の形状にも違いがある。
内部に小型ファンとモバイルバッテリーを仕込んで外気を取り込む仕組みを備えるものもあるという。厚手のスーツを着用するため、屋外で過ごしやすい冬が愛好家にとっての好シーズンとなっている。フルスーツの上からさらに衣装を着る「けもの」の姿も見られた。配色やデザインも一体ずつ異なり、参加者それぞれが自分のキャラクターとして表現していた。
会場には散歩中の地元住民が立ち寄る姿も見られた。スーツの構造について質問したり、家族に見せたいと写真を撮影したりする住民に対し、愛好家側も快く応じて交流した。「けもの」たちは写真や動画撮影のほか、カラオケなどを行い、スーツを脱いで人の姿になってからはバーベキューを行うなどして親睦を深めた。
7日20時過ぎからは雪が降り始めたが、参加者はこの場所ならではのアトラクションのように雪を喜んだ。同所では過去9回ほどの開催で5回ほど降雪が重なっているといい、同施設の今井里美所長が「よく雪と重なるね」と笑う場面も。路面状況を考慮した施設側の配慮で、一部の参加者がチェックアウト時間を延長して滞在したが、全員事故なく無事に帰宅した。
着ぐるみ制作工房「犬工房」の工房長を務めるRIO(リオ)さんは「山に囲まれたロケーションが良く、施設の方の人柄も含めてここでしか得られないものがある。毎年とても楽しみにしている」と話す。
運営全般を担当した、こぼるさんは「地域の人にも『けもの』に興味を持ってもらえるのはうれしい。活動を通じて自分たちのことや、吉田元気村のことも知ってもらいたい。普段は別々の場所で違う仕事をしている人たちが、ここに来て交流できることに意義がある」と振り返る。