秩父札所午年総開帳に向け新たな来訪者の開拓を目的に、秩父市は「旅ノート型冊子」を軸としたPR事業に取り組む。同市が1月21日、定例記者会見で発表した。同市に派遣されている地域活性化起業人3人が連携して企画を進める。
秩父札所午年総開帳は、秩父札所34観音霊場全体で12年に1度、午(うま)年に行われる行事。普段は秘仏とされている本尊の扉が開かれ、参拝者は特別な御朱印や散華(さんげ)を受け取ることができるほか、「おてつな」と呼ばれる綱を通じて本尊の観音様と縁を結ぶ参拝体験ができる。
同市では、総務省が推進する「地域活性化起業人」制度を活用し、民間企業の知見を生かした取り組みを進めている。今回の事業には、「秩父鉄道」から梅澤明子さん、「ヤマト運輸」から井上花野さん、「ゼンリン」から並木悠子さんが地域活性化起業人として携わっている。同市によると、複数の地域活性化起業人が連携して一つの事業に取り組む事例は珍しいという。
梅澤さんは、旅の記録をデジタルで残す人が増える中でも、ノートや手帳に手書きで記録したり、写真を貼って整理したりする「旅ノート」と呼ばれる旅の楽しみ方がある点に着目し、同企画を発案した。その後、井上さんや並木さんと相談する中で、「3人で協力することで、よりよい企画になるのでは」と、冊子の配布に加え、イベントや動画制作を組み合わせた情報発信を行うことになった。
冊子には、札所の基礎的な説明や簡単な参拝作法を掲載するほか、各札所の特徴や季節の花などを一覧で紹介。旅の前後の計画や記録を書き込めるページを6ページ設け、説明ページなどを含め全体で14ページ構成とした。
写真を貼ったり、スタンプを押したり、絵や文字を書き加えたりするなど、使い方は利用者に委ねる。冊子に収まりきらない記録については、個人のノートに続きを書き足すことを想定しており、御朱印帳とは異なる形で旅の記録を残せるよう工夫した。
冊子は2000部を制作し、3月1日から配布する予定。ターゲットは若い女性を想定しているが、配布対象は老若男女を問わない。イベント内容などに応じた条件付きとし、条件はイベントごとに異なる。配布場所は、秩父札所1番「四萬部寺」、秩父札所13番「慈眼寺」、西武秩父駅前の観光情報館など。御朱印帳を購入して冊子を希望した人や関連イベントの参加者を対象とする。
イベントは2月以降、都内や埼玉県内で行い、3月22日には池袋「WACCA(ワッカ)」1階でイベントを予定する。冊子の楽しみ方を紹介するPR動画も制作中で、冊子や動画の内容については札所連合会と連携し、各札所への調整を行っている。情報は「秩父観光なび」やSNSを通じて発信する。