横瀬町のパン店「ヤッホーパン」(横瀬町横瀬)が11月2日で5周年を迎えた。横瀬駅から徒歩約5分、横瀬町役場の裏手に構える店で、現在は金曜・土曜を中心に営業している。
同店は以前、週3~4日営業していたが、店主の太田友美さん(旧姓:日比谷)に結婚や妊娠などの生活環境の変化があり、昨年1月から一時休業に入った。出産と復帰の準備を進める中で、仕込みの進め方やスタッフとの分担を見直し、6月に営業を再開。夕方までに作業を終えられる体制を整えたことで無理のない働き方ができるようになり、新作の試作にも少しずつ取り組めるようになった。オフの日は子どもと向き合う時間に充てているという。
店頭には、定番の山型食パン(1斤420円)に加え、濃厚バターパン(80円)、甘い系のこしあんパン、クリームパン、ミルクフランス(以上220円)、たまごサンド(260円)、きのこグリルサンド(490円)などの調理パンも並べる。1日に1~2個だけ焼くパンもあるという。
小麦粉から起こした発酵種(ルヴァン種)を使う「パンオルヴァン」(700円)は、直径20センチ以上ある楕円(だえん)形のカンパーニュ。太田さんは「前は1個だけ焼いていて、好きな人が買うと、その日が終わってしまい、なかなか広まりにくいパンだった。お客さまに楽しんでもらえるように新作パンを考えつつ、パンオルヴァンのおいしさも広めたい。酸味の具合を整えるのが難しいが、サンドイッチにも料理にも合わせやすく、個人的にとても気に入っている。大きなパンにしか出せない風合いがあるので、気に入ってくれる人が増えたらうれしい」と話す。
閉店までの大幅な欠品を防ぎながら、廃棄を出さない工夫も行う。余ったパンを冷凍して希望者へ発送する取り組みとして、2022年に「困ったら送ってくれても良いよの会」を考案。店内には専用の冷凍スペースも設け、不定期ながら継続的に対応できる体制を設けている。「パンを捨てるのはとても嫌だが、作る量を減らしてしまったら本末転倒。前職で販売の仕事をしていた頃、締め作業で袋いっぱいのパンを廃棄する場面に立ち会い、精気が抜けていくような感覚になった。残ったパンも無駄にならないようにしたい」と太田さんは話す。
「仕込みや販売を支えるスタッフの存在も大きい」という。太田さんは「自分一人で抱えていた仕込みも、今はアルバイトスタッフと一緒に進められる。こちらが1つお願いすると3つくらい先を読んで動いてくれるような心強さがあり、奥さんがたくさんいるような安心感がある。販売スタッフの方が私よりもお客さまを把握しているし、オープン初期から続けてくれているので、みんな頼りになる」と話す。
「お客さまが来店してくれることが何よりうれしい。5年前よりもこの場所が好きだという気持ちが強くなった。いずれ週3日の営業に戻したい気持ちもあるので、製造スタッフを増やすことなども含めて検討していきたい」と話す。
営業は金曜・土曜の11時~17時30分。営業日の詳細や販売状況はSNSで知らせる。