
秩父の「カフェ&ギャラリー武甲庵(ぶこうあん)」(秩父市熊木町)で10月1日、写真家・大谷圭さんの写真展「Breathing Tibet-息づく人々、息づく大地-」が始まる。チベット文化圏を訪ねて撮影した写真で構成しており、3月から7月にかけて「富士フイルムフォトサロン」(東京・大阪・札幌)で開催した展示の巡回展。
大谷さんは1987(昭和62)年生まれ、東京都在住。2014(平成26)年から2年半にわたって世界を旅しながら写真を撮り、2020年に初の写真展「DISCOVERY」を開催した。大学卒業後から現在まで、システムエンジニアとして働きながら定期的に海外を訪問し、人々の暮らしを撮り続けている。
2014(平成26)年に初めてチベットを訪問。「中国・チベット自治区」の自然の中で暮らす人々の姿に圧倒された。その後に訪れた「北インド・ラダック地方」「ネパール・ムスタン」では、同じ文化圏ながら異なる空気を感じた。大谷さんは「3つの地域は『チベット文化』という共通の基盤があるが、それぞれ異なる表情を持っている。祈りを中心に、過酷な自然と共に生きる人々の生活から多くを学んだ」と振り返る。
「標高が高く、過酷な自然環境での生活の中心には『祈り』が根付いていて、人々が伝統的な生活を続けている。日本で暮らしていると意識しにくい価値観を目の当たりにし、もっと深くこの土地のことを理解したいという思いが湧き上がってきた」とも。
大谷さんの父親は秩父市出身で、現在も秩父には親戚が多く住んでいる。今回の巡回展は、富士フイルムフォトサロンの来場者から「秩父でも開催してほしい」との声があったことをきっかけに実現したという。展示の規模や立地を踏まえ、西武秩父駅から近く、ギャラリースペースが広い「カフェ&ギャラリー武甲庵」を会場に選んだ。
大谷さんは「チベット文化圏の人々と秩父の人々には『場所とのつながりの強さ』という部分で共通点があるように思う。父の実家が秩父ということもあり、何度か秩父に訪れてはいたが、今回の展示に向けて秩父の人々と話をしていく中で『土着的なつながりを大切にしている』と新たに感じた。今回の展示は『場所』を大切にしている秩父の人たちに、ぜひ見てほしい」と呼びかける。
開館時間は11時~18時(最終日は16時まで)。火曜休館。入館無料。10月5日15時から、大谷さんのギャラリートークも予定する。10月6日まで。