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「小鹿野春祭り」で春日野町民が80年ぶりに屋台歌舞伎の舞台へ

「白波五人男」のワンシーン

「白波五人男」のワンシーン

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 小鹿野町の小鹿神社(小鹿野町小鹿野)で4月18日・19日、例大祭「小鹿神社春祭り」が行われた。18日夜には、春日町地区の屋台歌舞伎で約80年ぶりに同町民が役者として舞台に立ち、「白浪五人男」を披露した。

日本駄右衛門を演じた八宮悟さん(写真中央)

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 同町では毎年、山車の上に張り出しの舞台を設置して「屋台歌舞伎」を上演している。本来は屋台の組み立てと歌舞伎の演者、いずれも地区の町民が行うのが習わしだが、同町では長い間「建てる」と「演じる」の分業が続いていた。今回、約80年ぶりに町民が演じることを復活した経緯について、同町青年部長で歌舞伎挑戦の発起人でもある八宮悟さんは「春日町には歌舞伎文化があるのだから、自分たちで演じたいと思っていた。話が出る度に頓挫していたが、自分に青年部長の役目が回ってきたのをきっかけに、皆さんに声をかけて実現した」と話す。

 「白浪五人男」は、5人の盗賊リーダー日本駄右衛門を演じる八宮さんを筆頭に、4人の登場人物、笛や太鼓の演奏も同町民が演じ、歌舞伎に詳しくない子どもたちも楽しんだ。演目の中盤で役者がせりふを飛ばして演技が止まるアクシデントもあったが、最前列で見ていた子どもたちの「頑張れー」という声援で会場は和やかなムードに。5人の役者たちが見えを切るラストシーンでは「たやっ!」「待ってました!」などの掛け声とともに、たくさんのおひねりが投げ込まれ、客席からの声援と大きな拍手でにぎやかな幕引きとなった。

 屋台歌舞伎を見た同町民の女性は「役者を職業としない地元の素人役者が演じる地歌舞伎には、プロの歌舞伎役者が演じるのとは違う面白みがある。初見でもわかりやすい演目で、顔見知りの人が演じたことですごく盛り上がった。せりふが飛んでしまってもご愛嬌(あいきょう)で、それが味にもなっていてとても楽しかった」と振り返る。

 演技を終えた八宮さんは「春日町の屋台歌舞伎の保存と継続のために、町民が演じることを続けていけたら」と、来年に向けて意欲を見せる。

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