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秩父で3つの企画展が同時開催 秩父の銘仙文化「未来へ紡ぐ」

長瀞蔵のギャラリーでさまざまな年代の銘仙を展示する

長瀞蔵のギャラリーでさまざまな年代の銘仙を展示する

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 秩父地域で4月19日、伝統的な絹織物「銘仙」の魅力を伝える企画展が始まった。「藤崎総兵衛商店」の酒蔵「長瀞蔵」(長瀞町長瀞)では同日から「横山織物と秩父織塾展」が開催されている。秩父市内の古民家「秩父市チャレンジショップ『よりどころ』」(秩父市番場町)と「寺内織物母屋」(道生町)の2会場では4月26日・27日、「昭和百年浪漫銘仙展」を行い、「花織るメイセン展」を5月3日から行う。

昭和100年の節目に合わせ、銘仙の歴史を展示する

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 長瀞蔵では、1926(大正15)年創業の「秩父織塾工房横山」(長瀞町矢那瀬)の前身「横山織物」初代・横山忠安の貴重な染織資料や作品群を展示する。矢那瀬の地で100年続く機屋の歩みを、資料と共にひもといていく初の展示となる。

 同工房が昨年復刻した「併用絣(へいようがすり)」を用いた銘仙も展示。同銘仙は現在では「失われた幻の銘仙技法の一つ」と言われており、先代たちから継承した製織技術を発展させ、復活に至ったという。2022年に同工房が発表した新銘仙「ヤナセ絣」の展示も予定し、秩父市の地域おこし協力隊で銘仙を担当する篠原順一さん監修の下、歴史ある手仕事作品を並べる。

 会場となる長瀞蔵は、江戸時代創業の酒蔵を改装したギャラリー。県産酒米と名水百選の湧き水で仕込む地酒「長瀞」を醸造しており、時期限定の酒、「長瀞 純米大吟醸生酒」「長瀞 純米しずくおりがらみ」も販売する。売店担当の田嶌ひろみさんは「秩父には横山さんに限らず、工芸作家がいるので、併せて楽しんでもらえたら。多くの人に足を運んでもらい、銘仙の歴史を感じてもらいながら長瀞蔵で酒を造っていることも知ってもらえれば」と話す。

 今年は昭和100年の節目の年に当たる。秩父市内の古民家を活用した「古民家de銘仙プロジェクト」第4弾として「昭和百年浪漫銘仙展」を開催。会場は買継商通り沿いのチャレンジショップ「よりどころ」と、旧家を改装した「寺内織物母屋」の2カ所。それぞれにテーマを設け、昭和初期から昭和30年代にかけて作られた銘仙を時代順に展示する。

 「よりどころ」では、大正末期から昭和初期にかけての銘仙のほか、昭和前期に作られた横瀬町・坂善織物工場の解し織(ほぐしおり)銘仙、秩父市高篠・丸上織物工場の銀嶺織(ぎんれいおり)銘仙を展示。1935(昭和10)年に中村大三郎画伯が原画を制作した「足利本銘仙」の宣伝ポスターに描かれた銘仙の着物も公開する。

 寺内織物母屋では、1931(昭和6)年の恐慌を経て再び華やかさを取り戻したとされる1933(昭和8)年以降の銘仙や、昭和10年代にかけて高級志向で製織された銘仙着物を中心に展示。戦後の1950(昭和25)年ごろから高度経済成長期にかけて作られた伊勢崎銘仙や併用絣の着物も紹介する。

 ゴールデンウイーク期間中の5月3日~6日には、同2会場で「花織るメイセン展」を行う。銘仙を多数コレクションしている木村和恵さんが長年にわたって収集してきた花をモチーフにした銘仙着物をセレクトして展示する。

 期間中、「ちちぶ銘仙館」(秩父市熊木町)の入場券の半券を「昭和百年浪漫銘仙展」「花織るメイセン展」の会場で提示すると、ノベルティーが受け取れる。
 篠原さんは「今回の企画展では、失われつつある伝統技術や時代を彩った意匠の数々を間近で見ることができる。織り手の思いが込められた一着に、ぜひ現地で出合ってほしい」と来場を呼びかける。

 会期と開館時間は、横山織物と秩父織塾展=4月19日~28日の10時~17時(最終日は15時まで)、火曜・水曜定休、昭和百年浪漫銘仙展=4月26日・27日の11時~18時、花織るメイセン展=5月3日~6日の11時~18時。いずれも入場無料。

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