
小鹿野町の中華料理店「春雷(しゅんらい)」(小鹿野町小鹿野、TEL 0494-75-2280)が4月11日で40周年を迎えた。
店主の丸山喜一さんが1985(昭和60)年に創業し、現在は妻の映美さんと長男の健太さんと共に店を切り盛りしている。喜一さんは神奈川県川崎市出身で、中学3年の時に母の出身地である小鹿野町に引っ越した。秩父農工科学高校卒業後、東京・新宿の調理師専門学校に通い、都内の中華料理店で修業を積んだ。当初は秩父市内で開業を考えていたが、家族の助言で実家のある小鹿野町に店を建てた。
当時、地域には出前をしている店が少なく、数多くの注文が入ったという。喜一さんは「開業当初は借金返済のプレッシャーもあり、必死に働いた。子どもの運動会などの行事にもほとんど行けなかった。1歳の娘を背負いながら、妻が一生懸命にギョーザの皮を作ってくれて、とても感謝している」と振り返る。
開店当初からの酢豚やエビチリ(以上1,300円)、ギョーザ(450円)などに加え、看板メニューとなったのが「トツゲキラーメン」(900円)。ギョーザの餡(あん)をラーメンにのせたもので、賄いとして作っていたが、映美さんが「おいしいので、店のメニューにしてみたら」と後押ししたのがきっかけでメニュー化した。喜一さんは「ラーメンの中にギョーザの具が『突撃しているみたい』だったから、そう名付けた」と話す。
2012年、テレビ番組でトツゲキラーメンが紹介され、来店客と注文が相次いだ。放映をきっかけに、都内で料理人として働いていた健太さんが一時帰郷し、その後、店に入ることを決めた。健太さんは「テレビに出たことで忙しくなると思い、両親を手伝いに来た。震災をきっかけに、地元のことを考えるようになった。都内の仕事も楽しかったが、自分が住み続ける場所ではないと感じ、地元に戻ることにした」と振り返る。
健太さんが厨房に入ってから春巻きや小籠包(ショウロンポウ)(以上750円)など新たなメニューを加えたほか、広東風で提供していたマーボー豆腐は四川マーボー豆腐(1,100円)にレシピを変えた。店には中華料理だけでなく、秩父の郷土料理の「わらじカツ」も提供しており、地元客に加えて観光客も訪れる。常連客を中心に、親子3代で訪れる客の姿も見られるという。
地域行事にも積極的に参加しており、喜一さんは地元の祭りでは拍子木を務めている。「笠鉾(かさほこ)や屋台の組み立てが終わると、みんなが店に来てくれる。地域に支えられてきたから、これからは少しずつ恩返しをしていきたい」と喜一さんは話す。
営業時間は、ランチ=11時~14時、ディナー=17時~21時。水曜定休。