
「道の駅ちちぶ」(秩父市大宮)と「道の駅大滝温泉」(大滝)に2月21日、タッチ式デジタルサイネージが設置され、秩父市が運用を始めた。市内の混雑状況を可視化し、観光客のスムーズな移動を促すのが狙い。
日本語以外にも英語、繁体語、簡体語、韓国語の計5カ国語対応している
市では、「VACAN(バカン)」(東京都千代田区)と連携し、AIカメラによる混雑状況の可視化を進めてきた。2020年には、災害発生時に避難所の混雑情報を提供する協定を締結し、2024年には三峯神社周辺の駐車場混雑状況や市内の飲食店や土産店、レジャー施設などの情報を確認できるウェブサイトを公開している。
同市先端技術推進課の田中健太さんは「三峯神社までは一本道で市営三峰駐車場の台数に限りがあることから、渋滞が発生しやすい状況にあり、観光客の中には混雑状況を知らずに訪れ、長時間の渋滞に巻き込まれるケースが多い。途中で手洗いに行くのも困難な状況になり、観光の満足度が下がることもある」と話す。
2024年に導入したシステムの延長線上で、観光客がより手軽にリアルタイムの情報を得られるよう、2つの道の駅にデジタルサイネージを導入した。デジタルサイネージにはリアルタイムの混雑情報に加え、AIが過去の統計データを分析し、1週間先までの混雑予測も表示する。過去のデータを基にAIが学習し、天候や祝日などの要素も加味しながら混雑を予測する仕組みとなっている。
今回の取り組みは、観光庁が取り組む「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」に全国で26地域選定の「先駆モデル地域型」にも採択されている。
田中さんは「分析結果を見てみると、特定の時間帯に来訪が集中していることが分かる。混雑を避けるために他の時間帯を選ぶなども、選択肢の一つとしてほしい。今後はサイネージの利用状況を見て、機能拡充を検討していく」と話す。
デジタルサイネージに掲載する秩父市内の店舗情報は、市の先端技術推進課に申し込めば、審査の上、掲載できるという。「市営三峰駐車場の混雑を知るだけでなく、他の観光地への回遊を促し、秩父での滞在時間を延ばすきっかけになれば」と田中さんは話す。