「サザエさん 森へ行く 植樹ツアー in 秩父2024」が10月27日に開催され、約130人が参加した。林野庁が推進する「木づかい運動」の一環で行う同イベントは昨年に続き、サザエさん一家が「森林の環(もりのわ)応援団」として参加した。主催は日本ウッドデザイン協会(東京都港区)と伊佐ホームズ(東京都世田谷区)。
当日、参加者は西武秩父駅に集合し、北堀篤市長、秩父市のイメージキャラクターのポテくまくん、サザエさんの出迎えを受けて出発式を行った。その後、5チームに分かれてバスで移動し、旧野外活動センター(秩父市山田)で植樹を体験。用意した苗木は、アカガシやイタヤカエデ、ヒイラギやクロモジなどを含む、高木・亜高木・低木など26種、約500本の広葉樹。さまざまな種類の苗木を1平方メートルに約4本、混植・密植により樹木が互いに競争し、強いものだけが自然に残って育つという。
伊佐ホームズが植樹活動を始めたのは11年前。同社の伊佐裕社長が木造住宅を建築していくうえで、樹木や森林のためにできることや建材の流通などの研究をしていく中で植樹活動を始めた。当初は30人ほどで、同市大滝地域にイタヤカエデなどを植樹し、樹液を採取してメープルシロップを造る取り組みに参加したのが始まりだったという。
山に利益を還元する仕組みを作るため、同社は2017(平成29)年、「森林パートナーズ」を設立。角仲林業(秩父市大滝)や金子製材(横瀬町横瀬)など秩父や県内の企業と協力して、木材の流通を2次元コードやICタグなども活用して管理することで出所が明確になる。撮影した森の写真を施主に見せ、「この森から伐採した木材を使っている」と説明しているという。秩父の木材を自宅に使ったことがきっかけで、植樹会に毎年訪れる参加者もいる。
植樹後には東京農業大学の上原巌教授が講話を行い、森林の多様性や森と川と街のつながり、水ができるための森の役割などを解説した。イベントの最後には、木工工房「TATE Lab.(たてラボ)」(横瀬)を見学。秩父産の杉材を、デジタル図面を元に自動工作機「ShopBot(ショップボット)」で切り出す様子をTIS(東京都新宿区)の伊藤淳さんがデモンストレーションした。切り出した絵馬状の木材は参加者が絵やメッセージを書き、植樹した場所に飾ったり、土産として持ち帰ったりした。
森林パートナーズの小柳雄平社長は「都市と山をつなぎ、地域材の価値を高める仕組みを作ることが重要。家づくりや木材の利用を通して、山に利益が還元される仕組みを構築し、次世代に森林資源を引き継ぐために、さらなる取り組みを続けていきたい」と話す。