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寄居「川の博物館」で秩父札所巡礼展 江戸期の道中日記や再現献立も

秩父札所参り絵馬

秩父札所参り絵馬

 埼玉県立川の博物館(寄居町小園、TEL 048-581-7333)で現在、春期企画展「巡礼者は秩父を目指す!-文献とモノから見つめ直す秩父札所の歴史-」が開かれている。3月18日に始まる秩父札所34カ所の「午歳(うまどし)総開帳」を前に、文献や実物資料から巡礼の歴史をたどる。

館内レストランでは、「巡礼ごぜん」(1,700円)を提供

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 江戸時代の人々が秩父を目指した旅の記録や絵馬、地図などの記録を元に構成する。当時は江戸から1泊2日で秩父に到着し、約5日間で札所を巡ることができた。各地の調査データからは、青森県から宮崎県まで全国各地に秩父札所の名を刻んだ石碑が点在していることが判明しており、当時の知名度の広がりを示しているという。

 巡礼者が記した日記には、34番札所付近の業者が1番札所へ荷物を先に配送するサービスを利用した記述があり、200年前にも手ぶらで巡礼する仕組みが存在していたことが分かる。籠に乗る女性や着飾った巡礼者が描かれた絵馬、温泉を目的にした宿泊記録からは、修行だけではなく行楽を兼ねた旅の姿が浮かび上がる。

 このほか、札所34番「水潜寺」に所蔵されているフィリピン周辺が原産とされる「シャコガイ」を展示。鎖国下でありながら、沖縄や薩摩や江戸を経由する海や陸の道を通じて、遠方の文物が秩父まで届いていた歴史を物語る。

 近代の札所巡礼を紹介するコーナーもあり、昭和50年代に発行された浮世絵入りの記念乗車券や当時のマスメディアが秩父巡礼を取り上げた雑誌などを展示し、鉄道や情報の普及とともに巡礼が広く知られた過程を伝えている。

 館内レストラン「ウォーターミル」では、旅日記の記述を元にした「巡礼ごぜん」(1,700円)を提供。日記内で「食物の粗悪なるを察せしむ」と酷評された店の献立を「現代風においしくアレンジした」という。同日記で絶賛されていたヤマメについては、現在はレストランでの提供が難しいため、アジフライを代わりのメイン料理として添えるなど、当時のエピソードを反映させたメニューとなっている。

 同展に合わせ、資料を活用したオリジナルグッズも用意。札所1番「四萬部寺」に伝わる版木をプリントした「巡礼バッグ」や、1930(昭和5)年の秩父三十四カ所案内図をデザインした「巡礼タオル」(各2,000円)などを販売する。

 企画を担当した学芸員の矢嶋正幸さんは学生時代の約20年前に自ら秩父札所を巡礼した経験を持つ。今回の展示は、約1年半前から準備を重ねてきた。矢嶋さんは「札所巡礼は年配者の趣味と思われがちだが、学生や若い層も楽しめるもの。江戸時代から続く札所巡礼の魅力を、展示を通して知ってほしい」と話す。

 関連展示として、「納経帳の変遷」「秩父地域の渡河」も同時開催。3月14日、4月12日の10時、13時30分から、学芸員による解説会を予定する。

 開館時間は9時~17時(レストランは11時~ラストオーダー15時30分)。入館料は、一般=410円、学生=200円、中学生以下無料。月曜休館。5月6日まで。

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