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小鹿野・法性寺「お船岩」の景観復活 伐採で数十年ぶりに「船の形」現す

数十年ぶりに船の形を現した法性寺の「お船岩」

数十年ぶりに船の形を現した法性寺の「お船岩」

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 秩父札所32番「法性寺(ほうしょうじ)」(小鹿野町般若)で2月17日、奥の院にある巨岩「お船岩(おふねいわ)」周辺の樹木伐採作業が完了した。成長した樹木に覆われていた岩肌が数十年ぶりに姿を現し、麓の境内から本来の「船の形」をはっきりと視認できるようになった。3月18日に始まる「秩父札所午歳(うまどし)総開帳」を前に、参拝者を迎える準備を整える。

伐採前の景観。船の形が木々に隠れている。

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 お船岩は、同寺の裏山に位置する全長200メートルの巨大な岩石。船の先端のように突き出した形状が特徴で、岩の上には奥の院があり、観音像と大日如来を安置する。1800年代の境内図では、より鋭い岩の形が描かれているが、先端部分は安政年間に崩落したと伝わる。本尊の聖観音は、全国でも珍しい船をこぐ「櫂(かい)」を持った姿をしており、古くから厚い信仰を集めてきた。

 今回の景観復活は、住職の荒谷哲巨さんが、自身の幼少期に見ていた風景と現在の差異に気づいたことがきっかけとなった。2010年ごろまでは一部見えていたお船岩が、近年は樹木に覆われて全く見えない状態になっていたという。

 伐採作業は森林組合に依頼し、ドローンを飛ばして「どの木を切れば麓から船の形に見えるか」を事前にシミュレーションした。当日は職人らが山に入り、麓の「奥の院遥拝所(ようはいじょ)」に立つ職人と無線で連絡を取り合った。山の中で木を一本ずつ揺らし、麓で目視して「その木を切る」と判断する工程を繰り返し、一日がかりで作業を終えた。

 秩父札所では間もなく始まる12年に1度の総開帳に合わせ、境内の整備を加速させている。2024年6月には、秩父札所唯一の鐘楼門である「仁王門」が314年ぶりの解体修理を終え、現在は金比羅宮も修復を進めている。総開帳期間中には、一般参拝者が観音堂の開扉や掃除、読経を僧侶と共に体験できる特別企画(事前予約制)も計画している。

 荒谷住職は「6歳の娘に『お船の形をした岩がある』と伝えていた。木に覆われて見えない中、娘は想像して『あるんだな』と思ってくれていたようだが、『本当に船の形だ』とようやく目で見て伝わるようになったことが感慨深い。総開帳という節目に、参拝者の方々にも本来の姿を見てもらえるのがうれしい」と話す。

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