埼玉県立秩父高校(秩父市上町)で2月12日、1年生約180人を対象とした「1学年総探分野別対話会」が行われた。
松田さんは椅子を壇上から下ろし、生徒と目線を合わせて対話していた
同校は埼玉県教育委員会の「県立高校学際的な学び推進事業」の指定を受けており、地域と連携した探究活動を行っている。1年生は1学期に探究活動の基礎を学び、2学期には「地域×教科」をテーマに秩父地域で活躍する人々の活動を学んできた。3学期は来年度の本格的な探究活動への準備期間と位置付け、生徒が自身の興味関心を広げる機会として同授業を企画した。
当日は映像制作、観光、伝統芸能、メディアなど、さまざまな分野で活動する10人の講師が登壇した。講師を務めたのは、カメラマンで「埼玉県地域おこし協力隊ネットワーク」の松田あずささん、「ike a bird」宮下遥明さん、「近畿日本ツーリスト」田中健太さん、「武甲山御嶽神社里宮太々神楽保存会」丹羽仁美さん、「PROJECT SAM」梅澤修さん、「Mahora稲穂山」の長谷川玲さん、「みんなでつくる日本一幸せな町横瀬」中村怜生さん、「秩父市地域おこし協力隊」の那賀早央里さんと福井由紀さん、「秩父経済新聞」伊藤美裕紀さんの10人。
各教室では、講師が日頃から探究している視点や今まで携わった仕事内容や地域での取り組みや暮らしなどを語った。黒板にスライドを投影して発表する形式だけでなく、講師が椅子を生徒の目線に合わせて車座で対話する場面も見られた。教室は緊張感に包まれていたが、講師が問いかけたり、話しやすい環境づくりを試行錯誤したりする中で、時折、笑いも起きるなどして交流を深めた。対話会終了後には、生徒が個別で講師に質問する姿も見られた。
担当の鈴木文哉教諭は「来年度は生徒自らが地域に関連した課題を見つけ、実際に街へ出て取材やフィールドワークを行う『アウトプット』の一年になる。今回はその橋渡しとして、単なる仕事の紹介にとどまらず、個人として物事を深く考え、探究し続けている大人を講師に招いた。これまでの学びをどう活用し、社会へどう発信していくかを考えるきっかけにしてほしい」と期待を込める。
コーディネーターの神宮一樹さんは「本来、地域の課題を調べる前段階として、自分自身のあり方や生き方を考えるプロセスが重要。講師の人柄や生きざまに触れることで、それに近い形が実現できたのでは。大人たちの姿から多様な選択肢を感じ取ってくれたら」と振り返る。
講師を務めた同校卒業生でもある田中さんは「母校で話せるのはうれしい。普段は大人同士で専門用語を使って仕事をすることが多いので、高校生に伝わる言葉で話すことは、自分自身の仕事の振り返りにもなり、自分もとても勉強になった」と話す。
参加した1年生の鳴海真介さんと堀口彩花さん、大澤美祐さんは「今のうちに自分にできることや、した方がいいことを聞きたかった。自分の好きなことや大切だと思うことを、成長につなげていきたい。夢をかなえることだけが正解ではないというのが印象に残った」と話していた。
2年生になる来年度は、生徒自身が地域に関連した課題やテーマを設定し、実際に街に出てフィールドワークや取材を行う予定。